ピアノに関するアドバイス

お子さんにピアノを習わせたい親御さんへ

ピアノレッスンがずっと続くって、子供次第だと思っていませんか?実はお母さん次第なんです。なぜお母さんなのか、最後まで読んでください。
大切な事は4つあります。

1.何故ピアノを習うか、はっきりさせましょう

本来、ピアノを習うと云うのは情操教育です。
「豊な心を持った大人になる」ここが、最大のテーマです。
例えば「わさびの利いたお鮨」とか「落語のひねった考え落ち」みたいな、大人になってからの余りの心とかゆとりの心とかいう、生活していくためのスパイスです。
子供のうちから「わさびに利いたお鮨」がおいしいとか「落語のひねった考え落ち」が理解できて笑うようでは、怖いものがあります。
子供は純粋ですから目の前の事に左右されやすく単純なんです。
お母さん、子供次第ですからと言って、ピアノレッスンをを止めたいと言えば止めさせるんですか?!
子供は、純粋なだけに未知なる可能性をいっぱい秘めていますから、ここは長い目で見ましょう。 ピアノレッスンを通して、我慢、チャレンジ、達成感などを学んでいくのです。

小、中学生の「音楽が好き」のレベルと「高校生の音楽が好き」のレベルには明らかに違いがあります。「ピアノ=習い事」から、「音楽を楽しむための道具=ピアノ」に変わってくるのが高校生ぐらいの年齢です。大体習い始めて10年ぐらいです。
このぐらいの年令まで続いていれば、ピアノから生涯離れることはなくなります。 実は大半の人が高校生くらいに聞いた曲を生涯忘れられない思いでの曲としています。(言いかえればある意味で大人になる入り口です)
要するに、「音楽の楽しさが分かってくる年令まで続く」が最大のポイントです。最低10年は続けましょう

2.ピアノがあるという事です
アップライトピアノとグランドピアノ

これがなかなか判っていない人が多いんです。
そう云われると「なに?」と思われる方がおられると思いますが、実は意外に多いのです。

よくあることですが、鍵盤楽器を用意するときにピアノらしき物(エレクトーン、オルガン、キーボードなど)を用意する方がいます。
これはテニスに例えると、硬式テニスを習うのに〔軟式テニスのラケットを持ってくる人〕や〔バトミントンのラケットを持ってくる人〕はたまた〔おもちゃの羽根突き用のラケットを持ってくる人〕みたいなものです。みんなネットが張ってありますが、ネットが張ってあればなんでもいい、という訳ではありません。
それぞれが悪いと言っているのではなく、目的に合った物を用意すると云う事です。 少し乱暴な言い方をするかもしれませんが、習字を習いに行くのに筆と墨と半紙ぐらいは用意するでしょう。そろばんを習いに行くのに、そろばんを用意するでしょう。それと同じでピアノを習いに行くと言えば、ピアノが必要です。
ピアノは高価な買い物ですから、ピアノを習うからと言って「はいそうですか、それではピアノを買いましょう」とはいきませんが習い始めの早い時期に本物のピアノが必要である事は間違いないのです
オルガンやキーボードとの大きな違いは、ピアノは鍵盤をたたいて音を出すため大きく演奏方法が違います。 ですからピアノを習うといえば、電子オルガンとかシンセサイザーとかのキーボードではなく、ピアノの先生のお家にあるのと同じピアノを用意しましょう。
アップライトピアノもしくはグランドピアノが置かれていると思いますが、最初はアップライトピアノで充分です。電気では鳴らないアコースティックなピアノを是非買ってください。
経済的な事は大きな問題ですが大切な事です。しいてはその事が一番経済的で上達が早いのです。

3.お母さんのフォローの仕方です

一般家庭では、母親が子供に向かって一日に128回(?!)のマイナスを言っているといわれます。

一番多いのは「早くしなさい」ですが、子供にとって母親の影響は大変大きいのです。 「そんな事も判らないの?」とか「○○さんに叱られる」とかもそうですが、マイナスの言葉から想像される事のほうが悪影響を与えています。
子供にお手伝いをさせます。その時、こう言います「このお茶をお父さんのところまで運んでね。こぼさないでよ!」………。
ほうら!やっぱりこぼしました。と云う訳です。こぼさないでと云うのは、こぼす事が大前提にあります。この答えは「お父さんのところまで、スッと持って行って」です。
マイナスを想像させるより、プラスの事を想像させたほうが、楽しいし、長続きします。

ピアノの例ではありませんが、こんな例があります。
小学生の夏休みの宿題に観察日記があります。これは、単純に種を植えて、水をやって、花を咲かせる。これだけの事を観察日記に書くのがテーマです。
しかし2~3日の水やりは続きますが、すぐ芽が出てこない事に飽きます。 そこへ知り合いの叔母が来ます。叔母はその子供に向かってキレイなカラー刷りの植物図鑑を見せながらこう言います
「この花はね、毎日お水をやって大切に育てると、こんなにキレイな花が咲くのよ!」
するとその子は、キレイな花を想像しながら毎日楽しみにして水をやり、日記をつけたんです。

大切な事は、今のピアノレッスンの向こうに何を想像させるかです。
大人ならば、1週間後のハワイ旅行は、徹夜の仕事も楽にこなせるぞ!といった感じになります。
後は、ほめる!おだてる!大人でも気分がいいですよね。「上手い!」「よくやった!」などなど…。
上手くできなかったところは、「今度は大丈夫もう一回やろう!」「もう少しだね!」とか。

ピアノの先生は、ご自分の子供のピアノレッスンは外に出します。よその子の生徒さんは客観的に教えられるのに、自分の子供は感情的になってレッスンにならないんだそうです。
「怒る」「しかる」を使い分けができなくなるからです。「怒る」は感情ですが、「しかる」は教育です
お母さん、感情的になって怒ってはいませんか?

それから、特に低学年の子供は、学校の宿題を自分の勉強机でなんかしません。お母さんのいる近く台所とか食堂のテーブルで宿題をしたりします。
「怒らないで、ほめる」時々「しかる」ピアノレッスンも一緒で、お母さんの近くで練習をしたいものです。聞いていて欲しいのですが、うるさいのは嫌なのです。
ですからピアノの置き場所は台所の近くか、リビングぐらいがいいと思います。

理屈は簡単なんですが!お母さん、がんばれ!

4.ピアノの先生と子供との相性です

今の先生を選んだ理由で一番多いのが、〔近い〕です。その次に、〔知り合い〕こんなところです。

今ピアノの先生をしている人の大半が、習い初めの頃「こんな素敵な先生になれたらいいなあ!」と思っています。
例えピアノの先生にならなくても、長く続く条件にはなります。〔近い〕〔知り合い〕だけではなく、その先生が好きになることが大切なことです
好きな先生のところは雨が降っても、遠くても、時間が無くてもレッスンに通います。「ピアノの先生とは相性がいいですか?」と、お聞きして「さあー悪くはないと思いますが?!」の返事が返ってくることが多いのですが、ちゃんと相性の良い先生を探してください。どの先生に習うかは、お母さんがその先生と直接会って、第一印象で決めたりしても大丈夫です。親子ですからそんなに感覚の違いはありません。

そして、レッスンには必ずスランプとかの渋滞がきます。習っていて面白くない、ほかに興味のあることができた、など。
この時に、ちゃんと相談できる先生が必要です。 ピアノの先生もずーっとピアノが好きで、ここまで順調にきた訳ではありません。山があって谷があっての現在です。
レッスンが面白くない、こんな時に限って相談するのが、やっぱり「レッスンが面白くない」と言って止めた子供のお母さんだったりして!これじゃあ傷のなめ合いです。
こんな時こそ、ピアノの先生に相談してください。

ピアノの先生だって人の子です。子供にとって良い先生とは、ピアノが上手に弾ける先生ではなくピアノを好きにさせてくれて、音楽を楽しむ為にピアノがあるってことを分からせてくれる先生ではないでしょうか!

ピアノレッスンで一番問われているのは、お母さんの生き方とか、姿勢かもしれませんね!