ピアノに関するアドバイス

  • ホーム
  • ピアノに関するアドバイス:ピアノ選びのコツ

ピアノ選びのコツ

購入の準備

購入する前に少し準備が必要です。

まずは、購入資金です。どれ位の予算を予定できるか決めて下さい。これから始める小さなお子さんには出来るだけいい物を買いましょう。全く予想の出来ない未知数の子供だから、本物が欲しいのです。たとえ、途中でレッスンを止めることになっても、本物であれば高く売れます。相手は自分の子供です、信じてあげましょう。

次は数社のカタログを集めてみましょう。カタログの集め方は、近くの楽器屋さん、大手メーカーの販売店、ピアノの先生紹介の営業マン、ピアノ調律師、などがあります。実にたくさんのピアノがあり、ここがどのピアノを買えばよいのか、迷う始まりです。そしてその中から1台のピアノを選ぶ。ばくぜんと「ピアノが欲しい」だけでは、難しいのです。

カタログを読んで
カタログを読んで

良いピアノの条件とは、外装は美しく調律は狂いにくく鍵盤は敏感に反応して弾き易く音色には深みがありダイナミックレンジが広い(ピアニシモからフォルテシモまでの音量の幅)、とされています。カタログからこの事を読み取ることは不可能です。

カタログにはアップライトピアノの場合、器種名・高さ・間口・奥行・重さ・鍵盤の数・表面仕様・その他の特徴などが記入されています。黒塗りのピアノを基本として、背の高いピアノほど値段も高価になり、これに木目の生地仕様が加われば、更に高価になります。基本的には、背の高いピアノほど性能がよくなります。

例えば、Ki-60KFの場合、アルファベットと数字の組み合わせは器種名、ファインアイボリーは人口象牙、フェノールは材質、カワイハンマーは自分のところのオリジナルを使っていてハンマーが二重構造になっていると云う事です。
キャスターはピアノの下にあるコマで、移動する為の物ですが、前の2つは目に付くため真鍮製の綺麗な物を使っています。バーチは樺の木を使って木目の半艶に仕上げています。

重さですが、建物が老朽化していなければ、特に気にする事はありません。ピアノが入った為に、床が抜けたと言う話は聞いた事がありません。200kgの荷重が掛かっただけで、床が抜けたとなると、その建物は違法建築に等しいものがあります。気になるようでしたら、補強をするとよいでしょう。

カワイのものだけ説明しましたが、他メーカーも、カタログに説明が載っています。
いくらの予算で、どこの場所に置いて、部屋の雰囲気に合うのか、合わないのかが判ればいいのです。色々な細かい仕様が列記されていますが、特に気にする必要はありません。これ以外は、肌で感じないと判らないものばかりです。ピアノメーカーを2社・4台位に絞り、実物を見て、聴いて、触って下さい。お店に行く前には、実際に見たいピアノがあるか確認してください。又、見たい物がなければ、取り寄せてもらえるか、聞いてみてください。取り寄せられない生地塗りの物などは、色見本があるはずですから、用意しておいて貰いましょう。

お店に行く
お店に行く

「カタログを読む」の段階では随分ぶっきらぼうな説明の仕方をしましたが、値段・大きさ・雰囲気が判れば、いよいよこれからが本番です。

お店に行って確認するのは、実際のピアノの感じです。
実物の大きさ、木目の色合い、弾いてみた感触、質問があれば聞いてみるのもいいと思います。できれば、ピアノを良く知っている人が同伴すれば心強いものです。 ピアノの外装も外してもらい、内部を見せてもらいましょう。内部が著しく汚れていたり、中の部品が著しく不揃いだったり、雑に作られていると感じたりしたら、ピアノの管理が悪いか、ピアノが粗悪か、技術者のレベルが低いのです。たとえ、大きなお店でも、そのお店はさっさと出ましょう。

それから個人的な意見ですが、大手メーカー・楽器店・大きな量販店などの、営業マンや店員の言葉を、そのまま信用して買うのも問題があります。もちろん、人間的に悪い人はいないでしょうが、会社に利益の多いものや、早く処分してしまいたい商品など、お店に都合の良い商品を勧めるからです。そして、優秀な社員であればある程、担当してくれた人は、昇進や独立などで、そのお店からはいなくなります。つまりは、ピアノのアフターサービスを他人にゆだねる事になります。

ピアノを購入するという事は、そのピアノの存在と、その後のアフターサービスも含め、何十年と付きあう事になります。ピアノ購入は、慎重に、前向きに、楽しく悩んで下さい

ハンマー弦合わせ不良を見抜く
ハンマー弦合わせ不良

画像を、よ~く見てください。ピアノ線をたたくハンマーの間隔が綺麗に揃っていません。 と、言うことは、ピアノ線がハンマーの中心に当たっていません。この作業は、「ハンマー弦合わせ」と言って、とても、大切な作業です。
普通、ピアノの先生や、素人でも気が付かないところですから、お店のモラルや、ピアノ技術者のモラルが問われます。当然、このピアノは寿命も短く、その性能が充分発揮されていません。

値引き交渉

値引きは一部のメーカー除いて、幾らかは期待できます。
しかし、売り手側も人間ですから、余りしつこくするのも考え物です。最初に提示された金額から、「もう一声!」って感じでしょうか!
気持ちの良いサービスを受けられる方がメリットは大きいと思います。(私がお店にいた時は、そんな気持ちでした)

アフターサービス

質の高いサービスを受けられるお店がお勧めです。では、どんな事が質の高いサービスでしょう?

第一には、ピアノ調律師のレベルです。
(社)日本ピアノ調律師協会という団体があり、この協会は、調律師のレベル向上などを目的に文部省(現在文部科学省)認可の下で発足したものです。入会にあたっては、3年以上の実務経験があり、調律実技、断線修理、整調実技、筆記試験など入会審査があり、ピアノ調律師としての基準が設けられています。現在、この協会の会員数は約3000名程度ですが、調律師協会に属さない調律師もたくさんいて、会員数の2~3倍の調律師がいると言われています。

調律師協会に属さない調律師が、いい加減な仕事をしていると言う事ではありません。
ピアノ調律師の仕事は一般の人には判りにくいため、このようなライセンスが最低の目安となります。ピアノ調律・修理の依頼があり、お客様の家に訪問するとピアノの状態は最悪の物が多いのです。もちろん調律を依頼する位だから、素人でもわかる程ひどい状態になっています。この原因が何かと言えば、定期的にメンテナンスを行わないお客様側にありますが、そうでない原因もかなりあります。

調律師のレベルが低く、ピアノアクションの調整がされておらず調子が悪い場合もかなりあります。ピアノ調律師だからピアノの音を合わせ、調律料金を頂いて帰る。間違いはないが、そう云うピアノはピアノ本来の寿命をまっとうせずに能力も発揮しないまま買い換えられていくに違いありません。
その他、売り手側のコミュニケーションがないまま、何年も放置された場合などがあります。

お客様にとって質の高いアフターサービスとは、腕の良い職人さんに出会うことと、購入後そのお店とどれだけ有益な情報の提供を受けられるかが大きなポイントです。ここには個人的な感情も入り、総合的なもので判断するのがいいでしょう。

まとめ

ピアノ業界では偽装問題に発展することはありませんが、ピアノのお店としてとても有名なお店も中国製のピアノを扱うようになり、ピアノ選びには、とても深い知識が必要となりました。
ドイツやオーストリアの有名なブランドも、中身は中国の会社ばかりで、最近、この手のピアノを買われた方が、「うちのピアノは、どうなんでしょう?」と、問い合わせのある方の殆どが、このパターンです。

また、今では何でもパソコンで調べる時代ですから、ネットでお目当てのピアノの動画を「you tube」で見て、「きれいな音だな〜」と錯覚するパターンなど、ピアノ選びの失敗例も多種多様です。
昨今、ピアノ情勢は日々変化していきwebでの販売も増加してきた時代、ピアノ購入にはかなりの専門知識が必要となりました。
高木ピアノサービスでは「本気で満足のいくピアノが欲しい」と思われている方のご相談をお待ちしています。

ピアノ購入に至るまでの、お客様と高木ピアノサービスとのメールのやりとりを公開しています。貴方のピアノ購入のお役に立てれば幸いです。